2019年11月2日土曜日

食事の楽しみ

歴代の元野良犬たちはご飯をとても楽しみにしていた。食べることは生きることである。特にアンは、我が家に来た頃ガリガリに痩せていた。栄養失調から毛もパサパサで、お腹辺りは抜けていた。ドッグフードをあげるとガツガツ凄い勢いで食べてしまった。ある日空き地でピョンピョン飛んでいる光景が目に飛び込んで来た。何をしているのかと眺めていると、飢えを凌ぐため、前足でイナゴを捕まえて食べていたのには驚いた。毛もフサフサに生え揃い、色も濃くなった頃には虫捕りはしなくなったようだ。
この犬はとても長生きした。晩年は庭をグルグル歩き回っていたのだが、彼女の楽しみは換気扇からの料理の匂いを嗅ぐことだった。歯が悪くなっていたので、お肉を柔らかく炊いて上げたり、食事も色々気を使っていたのだが、気に入らないとお皿をひっくり返す事があった。最初は足元がふらついたのかなぁと思ったのだが、どうやら違っていたらしい。換気扇からの匂いと違うご飯が気に入らなかったのだ。この事に気がついたきっかけは、ある日ちらし寿司を作った日に皿をひっくり返された。寿司は酸っぱいので食べないと思い込んでいたのだが、お皿に入れてあげると、「これ、これだよ!」と喜んでムシャムシャ食べた。これ以降、成る可く換気扇からの匂いと同じ料理をあげるように心掛けた。
昭和の頃は、ドッグフードの種類も少なく、ビタワンかペディグリーチャムぐらいしかなかったような気がする。今は色んなメーカーや種類が豊富だ。
コーギーのアンリは6ヶ月ぐらいまではドッグフードを食べていたのだが、途中からアレルギーを発症してしまい、食事は手作りの物を食べていた。

好き嫌いは余りなかったような気がする。しかし、太り気味だったので野菜を食べさせようと人参を細かく刻んで混ぜたりしていたのだが、人参だけを皿の外に出して器用に食べていた。こちらのダイエット作戦はことごとく失敗に終わったので量のコントロールぐらいしか出来なかった。アンリの好物は白身魚だった。冬の鍋で白身魚の時はお腹がはち切れそうなくらい食べていた。人間の方は骨取りにくたびれて、雑炊ばかり食していた。

1 件のコメント:

  1. 毎日、王子さまにお仕えされるとのこと、思わず笑ってしまいました。知恵比べですね。アンちゃんが換気扇の匂いと同じものを食べていたというのには驚きました。愉快です。

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